|
どういうシュートアウトをするかは対戦相手がどれほどの力量なのかに大きく関係してきます。ビデオで見た世界のトッププレーヤー同士のシュートアウトをアマチュアの試合で再現をしても効果
的とは言えない場合もあります。相手の入れミスを誘うシュートアウトでも相手の力量
次第で、作るべき配置の難易度も変わってきます。またプロのレベルでは、まずセーフティーされたときに隠すのが難しい配置にしなければ墓穴を掘ってしまうことになります。シュートアウト自体は何をしても良い自由なプレーなのですが、ワールドクラスになると入れられたら負け、隠されたら負けと言ってもいいぐらいの厳しい制約の元でシュートアウトをしているのです。
先日行われたジャパン・オープンで見た素晴らしいドラマチックなシュートアウトを紹介します。
エフレン対鄭栄和(韓国)、9先取りのゲーム、8-7でリーチをかけているエフレンが図のような配置から8を9の後ろに止め、手玉
は短クッションにタッチして止まる芸術的とも言えるセーフティー。
場内の大喝采に迎えられ、会心のセーフティーを決めたエフレンが席に着きます。しかし彼はこの後に悪夢を見ることになります。立ち上がった鄭選手は絶望的な配置から決心したかのように構えると何とハードショットのカットで8をコーナーポケットに入れてしまったのです。戻ってきた手玉
が9に当たってイージーな形が残りこれを入れてスコアは8-8。
ヒルヒルで迎えた鄭選手のブレークはボールが何個か落ちたものの1が隠れてしまい、ここで下図のようなシュートアウト。
(他のボールの配置は記憶にないので省略、 確か2の位置が同じ短クッション付近のためギリギリのスローショットで入れなければならないような配置だったと思います。)
鄭選手はこの配置をエフレンに残したのです 。何というシュートアウトでしょうか、ボールが鮮明にエフレンに語りかけています「もう一度悪夢を見たいか?」と。「さっきのカットを見ただろ、それに比べたらこんなカット何でもないよ、ヒルヒルだからパスしたら終わりだよ。」と。先ほどのスーパーショットのドラマはまだ続いていたのです。
しかし、さらっと見た後「パス」と言って着席してしまったエフレンおじさん。これはこれであのスーパーショットが無かったらおじさんもパスをするような配置ではなかったでしょう。「若者よ、今度も入れれると思ってるのか?」
と聞こえてきそうな味のあるパスでした。立ち上がった鄭選手は結局相手にかけたプレッシャーをすべて自分が背負い込む形でショットをしなければなりませんでした。慎重に放ったスローのカットはわずかに厚くポケットのアゴに当たりイージーボールを残してしまったのです。エフレンはクールに残りをすべて取り切り試合は終了しました。
めったにミスをしない者同士のどちらかが勝者になる過酷な戦い。
ヘタでよかったぜ、チキン・ジョー。
|